「・・・・へぇ、逃げなかったんだな」 「約束、ですから」 「ふん、まぁいい。 入れ」 放課後、昨日のように練習室のドアを叩くと柚木が意外そうな顔で出迎えた。 しかし、それも一瞬ですぐに元の皮肉を含んだ表情に戻ってしまった。 「じゃあ、ヴァイオリンを出して」 「・・・・それで何をするんですか?」 「何って練習だろう。 ・・・・ああ、昨日みたいに抱いて欲しいのならリクエストに応えてやっても構わないけど?」 「・・・・っ、誰が・・・!」 柚木のあからさまな侮蔑の言葉にカッとなり、やや乱暴にケースからヴァイオリンを取り出した。 もう暗譜する程には弾けるようになったので、香穂子は勝手に演奏し始める。 だが、こういうものはメンタル面の影響も強く出てしまう。 苛々とした気持ちで弾いても音が荒み、普段はミスしないような所でとちったりする。 それに見かねた柚木が一旦ストップを掛けた。 「・・・お前、本番まであと何日だと思っている?」 「・・・・・・・」 「半端な気持ちで参加されたら周りが迷惑だ、と・・・前にも言ったよな?」 「・・・・はい・・・」 「あれだけの啖呵を切ったんだ。 俺を納得させるくらいの出来なんだろう」 柚木の皮肉にカチンときた香穂子は、ぎゅっと強く弓を握った。 悔しさと、不甲斐なさが入り混じる。 「もう一度、弾かせて下さい!」 気が付けば、香穂子は柚木に向かって叫んでいた。 柚木は何も言わず、ただ顎をしゃくっただけ。 それを是と受け取って香穂子はヴァイオリンを構えた。 A c t 3 . 弾き終えると同時、香穂子はふう・・・と、息をついた。 額にうっすらと滲んだ汗を拭うと、パンパンパンと乾いた音がした。 「予想してたよりはマシな演奏だったよ」 「・・・・ありがとうございます」 一瞬その言葉に躊躇ったものの、柚木の表情に裏がない事を察して素直に礼を言う。 香穂子自身、今の精一杯を弾いたつもりだが・・・・柚木を納得させられるかと問われれば否だ。 少々不安そうに顔色を窺えば、ばっちりと視線が合ってしまった。 「・・・何だ?」 「あ、いえっ・・・べつに・・・」 「曲の評価をしてほしいのか?」 誤魔化したつもりが相手にはお見通しだったらしい。 あっさりと答えられて香穂子は小さく頷いた。 「そうだな・・・・、テンポが若干ずれてくるのは単純に無駄な指使いをしているからだと思うぜ。 あと、焦りすぎ」 「無駄な指使い・・・・?」 「分からないなら、鏡を使って練習すればいい。 そうすれば姿勢も良くなるしな」 「はい」 「ほら、丁度そこに鏡があるから練習してみろよ」 柚木の指が差した方を向けば、確かに全身鏡があった。 香穂子はそちらへ移動し、再びヴァイオリンを構えてみる。 そうすれば普段は気付かないズレも鏡で直ぐに気付けるから便利だった。 「こう、ですか・・・?」 「もう少し・・・足は肩幅くらいに」 そう言って、柚木は香穂子の両足に片膝を入れて広げさせる。 背後にいる柚木とぴったりくっつく体勢に、香穂子は動揺した。 しかし、今は練習中。 折角まじめに教えてくれている柚木に対して失礼な態度は取れず、香穂子も集中しようと努力する。 「ほら、指にばかり気を取られない。 背中をしゃんと伸ばせ」 「は、はい・・・」 柚木が喋るたびに吐息が耳を擽り、音が震えてしまう。 今も弾くことに意識していないと、自分がどこのフレーズを弾いているのか解らなくなりそうだ。 「・・・・なかなか頑張るね」 「えっ?」 突然クスクスと笑い出した柚木を、香穂子は唖然と見つめた。 しかし、その内にまさかという疑念がよぎる。 「もしかして、わざと・・・・っ!」 「そうだとしたら?」 「そんな、柚木先輩が練習してみろって・・・」 「言ったけど。 でもね、俺もただで人の練習をみてやるほど、暇じゃないんだよ」 「・・・・どういう事ですか?」 「つまり、お前の練習に付き合ってやってる間、俺はお前で遊ばせてもらう」 まだよく意味の解ってない香穂子に、柚木は息を耳にそっと吹きかけた。 途端にびくん、と反応する。 「感じるのは勝手だけどね。 弾いてる手は途中で止めるなよ」 「なっ・・・・」 「約束、だろう・・・?」 先程、自分で言った言葉を返されて香穂子はぐっと息を飲み込んだ。 「・・・・わかりました」 香穂子は一度おおきく息を吸い込み、吐き出す。 それを数回繰り返すと、ゆっくりとヴァイオリンを構え直した。 ************* 「・・・っ・・・」 「一回目より酷いね、音が」 「・・・誰の、せいですか・・・っ!」 首筋を軽く吸われ、ビクリと肩が震える。 その振動で弓が明後日の方へ行ってしまい、ギギッと耳障りな音が鳴った。 鏡を見れば、制服をはだけさせながら演奏している自分と・・・・・・ それとは対照的に制服をきっちりと着こなし、後ろから抱くようにして香穂子の胸を弄んでいる柚木が映っている。 室内には香穂子が奏でるヴァイオリンの音色と、時折肌を吸い上げる卑猥な音だけが響いていた。 「お前は何処が一番感じるんだっけ?」 意地悪な言葉を囁く柚木と鏡の中で目が合い、香穂子は羞恥から視線を外す。 だが、その反抗的な態度が逆に柚木を煽ってしまった。 乱暴に下着をずらされ、掌サイズの乳房が露わとなる。 柚木の指が突起を摘まむと香穂子はビクリと身を竦ませた。 「・・・・あぁ、言葉で訊くよりも身体に直接尋ねた方が早かったな」 「最低、ですね・・・・っ」 「お前に良い人だと言われるよりも気分はいいね」 「・・・っ、悪趣味!!」 「悪趣味で結構。 だけど、それで濡らしてるお前も大概だと思うけど?」 「や・・・・・!」 不意に柚木の手がスカートの中に侵入し、思わず弓を落としてしまった。 それを咎めるかのように、花芽を布越しから押し潰された。 「・・・・どうやら、お仕置きが必要みたいだね」 柚木は香穂子からヴァイオリンを取り上げて傍らに置くと、その場で押し倒した。 抵抗するのを男の力で捻じ伏せる。 両手を封じてしまえば、あとは簡単だった。 その分、足のバタつきが激しくなったが、蹴りを避けて空を切っている間に下着を奪う。 そうすれば香穂子は身動きが一切取れなくなった。 「抵抗はもう終わり?」 「くっ・・・」 「いいね、その顔・・・・。 泣かせてみたくなる」 だったら、いっその事・・・・大声で泣き喚いてやろうか――― と、香穂子は思う。 しかし、それが読めたのか柚木はくつくつと笑いながら扉の方を一瞥した。 「妙な事をしたら人に気付かれるかもな? ・・・・入り口の窓で中は丸見えだから」 「・・・・・・!」 「まぁ、見られたいなら別に構わないけど」 「・・・・そんなわけ、ないでしょう」 「だったら大人しくしていろ」 そう言って柚木は抑えていた腕を放した。 だが、もう香穂子には抵抗する意思が残っていなかった。 それを良い事に柚木は香穂子の足を大きく開脚させ、其処に顔を埋める。 「・・・・あぁ、もう蜜がこんなに。 まったく、想像力が豊かだね」 「・・・・っ・・・・」 クスクスと嘲笑され、香穂子は羞恥と悔しさで顔が紅潮する。 視線が合わぬように顔を背け、現実から逃避するかのように硬く瞳を閉じている。 だが、それを幸いとし柚木の行動は更に大胆になった。 とろとろと溢れる蜜を舌で舐めとり、中に指を沈ませる。 舌で花芽を弄び、指で香穂子の良い場所を擦った。 「あ・・・やっ・・・!」 「嫌じゃないだろう? 感じて濡らしてるくせに」 「・・・も、やだぁ・・・・っ」 「教えてやろうか・・・? お前がどれくらい濡れているのか」 「何を・・・・っ、ひ・・・やぁあ―――・・・・っ!」 香穂子は先ほど中に侵入してきたモノの、圧倒的な質量の差に思わず悲鳴を上げた。 見ればそこには指ではなく、熱い昂りが埋められている。 充分濡れていたとはいえ、慣らしてもいなかったそこは痛みしか感じられない。 香穂子は信じられない思いと、痛みで気が遠くなりそうだった。 しかし、苦痛なのは何も香穂子だけではない。 柚木自身も、まるで食い千切られてしまいそうな痛みを感じていた。 「・・・・っ、は・・・・、・・・昨日も思ったけれど・・・お前、もしかして・・・・」 柚木の問いに香穂子はそっぽを向いた。 その反応で、自分は香穂子の 『初めて』 である事を確信する。 思わず柚木の顔に微笑が浮かぶ。 「・・・へぇ、それは得をした。 もう先生とは済んでいると思ったが」 「紘人さんは・・・先輩とは違う・・・っ、こんなこと・・・しないっ!」 許せなかった。 好きな人を侮辱された事が―――。 睨みつければ、柚木は仕置きとばかりに大きく腰を穿つ。 「いっ・・・・!」 「・・・そう。 なら、俺が最初から全て教えてあげる。 ここを、俺好みに仕込んでやるよ」 「・・・いや・・・、いやぁ・・・・っ」 「お前に拒否権なんか無いんだよ。 秘密をバラされたくないんだろう?」 「っ・・・・!」 「思い出したか? あまり俺を苛つかせるなよ・・・」 柚木の迫力に、香穂子の咽喉が鳴った。 向き合った姿勢から無理やり体勢を変え、香穂子の身体を返して腰だけ浮かせる。 繋がったままでの体位の変更に、苦しさが増した。 だが柚木はそんな香穂子を気に掛けることなく、何度も何度も腰を打ちつけた――――・・・・。 NEXT >> |